投球障害を考える②投球障害のリスク要因
更新日:2020年10月4日
皆さん、こんにちは!
野球教室のWINトレーナーの矢部です。
野球少年・少女に多い肩肘のケガ=「投球障害考える」
第2回は「投球障害のリスク要因」です。
前回の第1回では、球数や試合数を制限し、肩や肘にかかるストレスを減らすというのは大事だというお話をしました。
しかし、それだけでは足りず、
「投球数以外にも投球障害のリスク」が考えられるという結論でした。
では、投球障害のリスクは他に何があるのでしょうか?
②投球障害のリスク要因

基本的に投球での肩肘へのストレスの要素として
・投球数 ・投球強度 ・投球フォーム ・コンディショニング ・個体差
が挙げられます。
具体的に説明していきます。
前回、1球投げただけで肘の靭帯が耐えられないほどのストレスがかかり、それを筋肉で保護する必要があると説明しました。
1球の投球=肩肘へのストレスとすると
・投球数=ストレスの回数
・投球強度=ストレスの強さ
・投球フォーム=ストレスの方向、かかりやすさ
・コンディショニング=ストレスを受けやすい身体状態かどうか
・個体差=骨格や靭帯の強度、ケガ歴など
となります。
そして、投げすぎてストレスを与える回数が多くなる以外にも
・全力投球が多くて、ストレスを強く与えたり
・不良なフォームによって、よりストレスかかる方向になったり
・柔軟性や筋力が低下し、ストレスに弱い状態であったり
・成長期で骨が伸びて筋肉が硬い状態やケガを繰り返して強度が弱くなっていたり
このように考えると投球数はストレス要因の一つに過ぎないということになります。
そのため、たとえ球数制限をしても「不良な投球フォーム」や「ストレスのかかりやすい身体の状態」で投げていると、その分ストレスがかかりやすくなるということがわかると思います。
実際に先行文献においても
不良な投球フォームは投球障害につながる(瀧内敏朗. MB Orthop.2017)
と報告されています。
この5つの要素のうち、
自らコントロールできるのはどれでしょうか?
投球数はある程度コントロール(制限)できますが、
ピッチング以外にもノックなどの守備練習でも投げる機会は多いです。
上手くなるためにはやはり捕って、投げてを繰り返し行い、感覚を磨く必要もありますので、パフォーマンスアップの観点からすると、制限しすぎるのもよくないですね。
投球強度はどうでしょうか?
これもやはりピッチングにおいては、全力で打者を抑えにいくようなことも必要ですからある程度のコントロール(制限)ということになります。ノックで毎回全力投球しなくて良いというのはアリかもしれません。
骨格や靭帯の強度などの個体差は変えることは出来ないですよね。
一度してしまったケガを取り消しすることもできないので、ケガ歴(過去)も変えられないです。
では、投球フォームやコンディショニングはどうでしょうか?
これはコントロール、すなわち修正したり改善したりできそうですね!
「じゃあどんなフォームで投げるのが不良なのか?」
「どんな身体の状態だとストレスがかかりやすいのか?」
「息子の投球フォームなんてどうやってみたら良いかわからない...」
「ストレスのかかりやすい身体をしているかどうかなんて、どうやって調べるの?」
そう、これらの要素はまずストレスがかかっているかどうか
自分達ではよく分からないのです。
そこに私たち「”身体の専門家”の必要性」があると思ってます!
野球教室のWINの出番ですね!笑
私たち野球教室のWINのトレーナーは、「自らの経験や感覚だけの指導をする従来の野球教室とは違い、解剖学や運動学に基づいた理論的な指導を実践する」ことをモットーとしています。(winが選ばれる理由より)
この辺りは所属しているチームの指導者とは違う観点だと思いますし、なかなか指導してもらえないところでもあります。
一度体験してもらえれば納得いくと思います。
では、毎日毎日指導を受けなければならないのか?
もちろんそれはそれで嬉しいですが、私たちの指導だけに頼り、自らは何もしないようでは
その子の将来のためにならないですよね。
自分の状態(コンディション、投球フォームなど)を自分でチェック(セルフチェック)できて、良い状態をキープできる。自らを知る!
こういったことができると、より高いステージでプレーできますし、
野球以外にも生かせる部分だと思います。
次回はその「セルフチェック」も含めて
「コンディショニングの重要性」についてお話ししたいと思います。
投球障害考える第2回「投球障害のリスク要因」は以上です。
また次回もぜひご覧ください!

野球教室のWIN トレーナー矢部
【科学的な根拠をもとに指導】
■スポーツ整形外科で野球をはじめとするスポーツ選手のリハビリに従事
■スイングスピードに関する研究も行っており、全国学会での研究発表歴もあり
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